2019年 僕の常識を変えたアルバム6枚(ノイズ、フリージャズから学んだこと)
専門学校のジャズ科を卒業後、就職し働きながらセッションしていく中である時一つ違和感を感じました。
それは僕の周りにジャズとファンクが溢れてる故に音楽の視野が圧倒的に狭くなっていたことでした。
そんな中で考えを改めさせられるアルバムに出会ったのでまとめます。
(アルバム批評ではなく感想です。)
Interstellar Space /John Coltrane
1967年2月22日の録音。後期コルトレーンの作品です。
パーソネルはJohn Coltrane (ts), Rashied Ali (ds)のデュオ。
このアルバムの存在を聴いたときはドラムとテナーサックスだけなんてありかよ!と思いました。
だって、それまではギターがいてベースがいてドラムがいて、そこで初めて音楽ができるって思っていたから。それが常識でした。
聴いてみると、そこには感覚だけの世界がありました。いままでは楽器を演奏するときは何かしら考えていたし、相手の音と合わせなきゃ、何かしらアピールしなきゃいけないとか無意識のうちにそう信じ込んでいました。(でもそれもすごく大事。)
でも実際コルトレーンが黄金のメンバーを解体させて出来上がったのがこれ。
僕はドラマーなので、何といってもラシッドアリに心から感動を受けたのでした。
それはまるで赤ちゃんのように何の意味もなく、無我夢中で己の世界に入り込んでるドラミングでした。今までの常識を打ち破った瞬間でした。
Disco 3000 / Sun Ra
二枚目はまたフリージャズ。
78年1月23日、イタリア・ミラノでのライブ録音。
パーソネルはSun Ra(p,org,synth,drum box)、Michael Ray(tp)、John Gilmore(ts)、Luqman Ali(dr)。
このアルバムでは、ジャズはやっぱり楽器は生音じゃないとだめだっていう認識を打ち破ってくれた作品。このアルバムではサンラがCrumar Mainmanなるシンセのリズム機能を使っていて、すごくダサい音色のリズムが流れてきます。
サンラにそういう作品があることを聞いて、とりあえず聴くだけ聴いてみよう。
聴いてみて、なんだこれ!(笑)ってな感じだったわけなんですが。
次第に耳に馴染んでて来てあっという間に1枚聴き終えたわけです。
ジョンギルモアさんのソロが個人的にお気に入りです。
John Zornと山塚アイのデュオ作品、「nani nani」です。
下記公式サイトより引用
山塚アイことhanatarashの1枚目。恐ろしいアルバムです。
僕はここでついに初めてのノイズを聴くことになるのですが、はっきり言って聴けたもんじゃないです。最初に紹介した2枚のアルバムは一応リズムもあればコードもある。
nani naniもかなり変なアルバムですが、聴けない音はないです。
しかし、、、これは(笑)ゴオオオオオオオグガァアアアアアアアア!というノイズが約60分続くアルバムです。
最初聴いたときは10分で断念。
しかし、人間の耳は確実に不思議なもので、僕がノイズのライブを始めて見たときにその音圧の太さに、深く感動し、気づいたらこのアルバムを1枚聴き終えました。
そして僕は完全に耳がおかしくなって、外を歩いていると聴こえる足音や、空気の音などの環境音、部屋にいればクーラーの動く音、冷蔵庫の電子音、それらがすべて耳に入ってきてしまい、音楽でゲシュタルト崩壊しました(笑)
極めつけは、山塚アイがステージに持ち込んだ角材やガラスをひたすら壊すだけのライブ音源を聴いたとき。発狂しそうでした。僕の音楽観は完全に崩れてしまいました。
これは音楽じゃない。。しかし、音楽でもある、、、。結局突き詰めれば、環境音さえも音楽だって気づきました。
きました!阿部薫です。CDショップで見かけ、思わず買ってしまいました。
パーソネルは高柳昌行 (g), 阿部薫 (as, b-cl, harmonica)。
録音:1970年6月28日 厚生年金会館小ホール
ジャパノイズの元祖は紛れもなく高柳昌行だ!と確信したアルバム。(間違ってたらすみません。)1枚目同様サックスとのデュオです。
これには完全にぶっ飛びました。ノイズとフリージャズがすごく高密に交じり合っていてしっかり音楽になっています。
先ほどhanatarashの1stを紹介しましたが、作品としての出来は歴然。このアルバムを聴ける耳になってよかったと心からそう思いました。
この作品については、、僕は言葉にできないです(笑)実際に聴いてみることをお勧めします。
ちょっとした裏話をすると、最近このアルバムをLPでリイシューしたそうなのですが、まったく売れずじまいだったそうです(笑)
オリジナルLPは100枚しかないそうです。
1969MILES / Miles Davis
最後に僕が前衛音楽の道へ進む最大のきっかけがこちらです。
メンバーは、Miles Davisを筆頭に、Wayne Shorter、Chick Corea、Dave Holland、Jack DeJohnetteという、いわゆる「ロストクインテット」と呼ばれる時期の音源です。
このアルバムについてはネットにレビューが山ほどあるので、興味があれば調べてもらうのも良いです。
当時AOR,グルーヴ狂だった僕はついにスウィングジャズの門を開けました。
そして、マイルスデイヴィスにしっかりとハマるわけですが、その中で一番好きなアルバムです。
おそらくマイルスは当時スウィングからの脱却を目指していて、サイレントウェイやビッチェズブリュー等のフュージョン前夜のアルバムを発売してるわけです。
その真っ最中の頃のアルバムです。
いざ聴いてみると1曲目からのジャック ディジョネットがえげつないです。
ドラムってこういうことなのか!
今までは、ドラムは楽器を支える役割でテンポをキープし、暴れるときに暴れるものだと思っていました。しかし僕の浅はかな常識がまた崩れていったのでした。
このアルバムでは全員が同じ立ち位置にいて全員が主役。
かなりショッキングでした。初めて音楽を聴いて興奮しました。
以上がざっとこの1年で僕の常識を変えたアルバムです。
現在はジャズバンド、ロックバンド、ノイズバンドと3つのグループを動かしています。
バンドの技術はどうであれ、世の中チャレンジ精神です。(笑)
そして、ソロ活動として、ノイズとドラムのみで作成したアルバムを作ってみたり、
この記事では載せていませんがデレクベイリーやソニーシャーロック等即興演奏に感動しドラムのみで音源を作成しています。
ノイズバンドとしての音源↓
ドラムでの即興演奏↓
ありがとうございました!