音楽で理想的に恥をかく。②
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音楽にどっぷり浸かったなと思ったのは、高校2年生で洋楽ロックにのめり込んだ時から。
その時は、海外すげぇ!楽器上手い!グルーヴ凄い!だので素直に感動していました。
逆に言うと、日本人の音楽なんて面白くない。日本人はグルーヴがダメだ。などと日本人のくせに日本を悪評価していました。
そういう時期って誰しもあると思うんですよね。
僕の周りには一定数、まだそういう人たちがいます。
それが悪いとは思いませんが、音楽に正解なんてのはないと思うのです。
海外が全てではない。でも海外に視野を向けるのも大事。
人の価値観は度が過ぎると、馬鹿になります。
音楽は、楽器は上手ければ良いものでもないし、下手だからこそ出来ることもあるし、価値観は人それぞれですよね。
自分の価値観は自分だけのものにしたいな。と思います。
(続く)
平成最後の僕のライブ音源です↓
音楽で理想的に恥をかく。①
先日初めてドラマー一人でのライブをしました。
内容はFree Improvisationという完全即興演奏でした。
僕の場合、赤ちゃんがおもちゃの太鼓を叩いていることがヒントになっています。
赤ちゃんの無知で無謀で恥じらいもなく、ただただ音を鳴らすだけ、楽しいだけの姿勢に感動したわけです。
ライブでは賛否両論は覚悟して、ただ我を忘れて演奏しました。
ただただ、心から楽しかったです。平成最後にいままでで一番良い演奏ができたと自負しています。
ほとんどのお客さんは否定的で、一方、絶賛の声もあって死ぬほど嬉しかったです。
気づいた点も多くありました。
いままでに演奏内容でその人そのものに否定的になっていた過去が僕にはあります。
あいつは上手いだの、下手だの、グルーヴがどうだのと。
しかし今回一人でステージに立ち賛否両論を受けて、
演奏内容や価値観がどうであれその人のやりたいことにケチをつけることはできない。と思いました。
その人が好きでやってる演奏、好きで聴いてる音楽を否定する権利は誰にもないです。
当然音楽の価値観の違い、好き嫌いはありますが。
その日の対バン相手はみんなバンドスタイルだったのですがどれも素晴らしくて、音楽が好きでステージに立っているという熱気に溢れていました。
僕も元々は高校バンドあがりなので、その熱気を知っているはずなのですが、フュージョン好きが裏目に出たのか、当時は上手いか下手かでしか判断できないでいました。
しかし上京し実際に東京で上手い人をたくさん見て思ったのは上手い=音楽ではないということ。
それにここ数年うんざりしていた僕はそれに対するアンチテーゼの意味もあり即興演奏にたどり着きました。
人が好きなものを正直に表現しているとき、それは自信に満ち溢れていて輝いているものだと思うのです。
(続く)
平成最後の僕のライブ音源です↓
2019年 僕の常識を変えたアルバム6枚(ノイズ、フリージャズから学んだこと)
専門学校のジャズ科を卒業後、就職し働きながらセッションしていく中である時一つ違和感を感じました。
それは僕の周りにジャズとファンクが溢れてる故に音楽の視野が圧倒的に狭くなっていたことでした。
そんな中で考えを改めさせられるアルバムに出会ったのでまとめます。
(アルバム批評ではなく感想です。)
Interstellar Space /John Coltrane
1967年2月22日の録音。後期コルトレーンの作品です。
パーソネルはJohn Coltrane (ts), Rashied Ali (ds)のデュオ。
このアルバムの存在を聴いたときはドラムとテナーサックスだけなんてありかよ!と思いました。
だって、それまではギターがいてベースがいてドラムがいて、そこで初めて音楽ができるって思っていたから。それが常識でした。
聴いてみると、そこには感覚だけの世界がありました。いままでは楽器を演奏するときは何かしら考えていたし、相手の音と合わせなきゃ、何かしらアピールしなきゃいけないとか無意識のうちにそう信じ込んでいました。(でもそれもすごく大事。)
でも実際コルトレーンが黄金のメンバーを解体させて出来上がったのがこれ。
僕はドラマーなので、何といってもラシッドアリに心から感動を受けたのでした。
それはまるで赤ちゃんのように何の意味もなく、無我夢中で己の世界に入り込んでるドラミングでした。今までの常識を打ち破った瞬間でした。
Disco 3000 / Sun Ra
二枚目はまたフリージャズ。
78年1月23日、イタリア・ミラノでのライブ録音。
パーソネルはSun Ra(p,org,synth,drum box)、Michael Ray(tp)、John Gilmore(ts)、Luqman Ali(dr)。
このアルバムでは、ジャズはやっぱり楽器は生音じゃないとだめだっていう認識を打ち破ってくれた作品。このアルバムではサンラがCrumar Mainmanなるシンセのリズム機能を使っていて、すごくダサい音色のリズムが流れてきます。
サンラにそういう作品があることを聞いて、とりあえず聴くだけ聴いてみよう。
聴いてみて、なんだこれ!(笑)ってな感じだったわけなんですが。
次第に耳に馴染んでて来てあっという間に1枚聴き終えたわけです。
ジョンギルモアさんのソロが個人的にお気に入りです。
John Zornと山塚アイのデュオ作品、「nani nani」です。
下記公式サイトより引用
山塚アイことhanatarashの1枚目。恐ろしいアルバムです。
僕はここでついに初めてのノイズを聴くことになるのですが、はっきり言って聴けたもんじゃないです。最初に紹介した2枚のアルバムは一応リズムもあればコードもある。
nani naniもかなり変なアルバムですが、聴けない音はないです。
しかし、、、これは(笑)ゴオオオオオオオグガァアアアアアアアア!というノイズが約60分続くアルバムです。
最初聴いたときは10分で断念。
しかし、人間の耳は確実に不思議なもので、僕がノイズのライブを始めて見たときにその音圧の太さに、深く感動し、気づいたらこのアルバムを1枚聴き終えました。
そして僕は完全に耳がおかしくなって、外を歩いていると聴こえる足音や、空気の音などの環境音、部屋にいればクーラーの動く音、冷蔵庫の電子音、それらがすべて耳に入ってきてしまい、音楽でゲシュタルト崩壊しました(笑)
極めつけは、山塚アイがステージに持ち込んだ角材やガラスをひたすら壊すだけのライブ音源を聴いたとき。発狂しそうでした。僕の音楽観は完全に崩れてしまいました。
これは音楽じゃない。。しかし、音楽でもある、、、。結局突き詰めれば、環境音さえも音楽だって気づきました。
きました!阿部薫です。CDショップで見かけ、思わず買ってしまいました。
パーソネルは高柳昌行 (g), 阿部薫 (as, b-cl, harmonica)。
録音:1970年6月28日 厚生年金会館小ホール
ジャパノイズの元祖は紛れもなく高柳昌行だ!と確信したアルバム。(間違ってたらすみません。)1枚目同様サックスとのデュオです。
これには完全にぶっ飛びました。ノイズとフリージャズがすごく高密に交じり合っていてしっかり音楽になっています。
先ほどhanatarashの1stを紹介しましたが、作品としての出来は歴然。このアルバムを聴ける耳になってよかったと心からそう思いました。
この作品については、、僕は言葉にできないです(笑)実際に聴いてみることをお勧めします。
ちょっとした裏話をすると、最近このアルバムをLPでリイシューしたそうなのですが、まったく売れずじまいだったそうです(笑)
オリジナルLPは100枚しかないそうです。
1969MILES / Miles Davis
最後に僕が前衛音楽の道へ進む最大のきっかけがこちらです。
メンバーは、Miles Davisを筆頭に、Wayne Shorter、Chick Corea、Dave Holland、Jack DeJohnetteという、いわゆる「ロストクインテット」と呼ばれる時期の音源です。
このアルバムについてはネットにレビューが山ほどあるので、興味があれば調べてもらうのも良いです。
当時AOR,グルーヴ狂だった僕はついにスウィングジャズの門を開けました。
そして、マイルスデイヴィスにしっかりとハマるわけですが、その中で一番好きなアルバムです。
おそらくマイルスは当時スウィングからの脱却を目指していて、サイレントウェイやビッチェズブリュー等のフュージョン前夜のアルバムを発売してるわけです。
その真っ最中の頃のアルバムです。
いざ聴いてみると1曲目からのジャック ディジョネットがえげつないです。
ドラムってこういうことなのか!
今までは、ドラムは楽器を支える役割でテンポをキープし、暴れるときに暴れるものだと思っていました。しかし僕の浅はかな常識がまた崩れていったのでした。
このアルバムでは全員が同じ立ち位置にいて全員が主役。
かなりショッキングでした。初めて音楽を聴いて興奮しました。
以上がざっとこの1年で僕の常識を変えたアルバムです。
現在はジャズバンド、ロックバンド、ノイズバンドと3つのグループを動かしています。
バンドの技術はどうであれ、世の中チャレンジ精神です。(笑)
そして、ソロ活動として、ノイズとドラムのみで作成したアルバムを作ってみたり、
この記事では載せていませんがデレクベイリーやソニーシャーロック等即興演奏に感動しドラムのみで音源を作成しています。
ノイズバンドとしての音源↓
ドラムでの即興演奏↓
ありがとうございました!